サラ・ブライトマンは、1997年の大ヒットアルバム『Time to Say Goodbye』以来、ジャンルを超えたクロスオーヴァーの花道を歩きつづけている。フーヴァーフォニック(<2>)からカンザス(<6>)、はてはプッチーニや映画音楽(『タイタニック』と『イングリッシュ・ペイシェント』)までを意欲的にカヴァーしながら。<4>で見られるように、ときには1つの曲のなかでクロスオーヴァーしていることもある。ここでは、陰気なハーモニーのアルビノーニの「アダージョ」にリズムトラックをつけている。
しかし、これらはみんなリスナーを驚かす緩衝材に過ぎない。本人はあくまで、ひとつひとつのメロディーに光をそそぎ込むように、気高く神々しく歌うことの方に意識を集中させているからだ。その結果、絶妙な具合に新しいかたちのキッチュさがうまれるのだ。
特別のヴォイストレーニングの効果あって、ブライトマンは高音部でより大胆に、安定した艶やかな声が操れるようになった。<3>にみられるように、この声には白磁に可憐な色つけをした磁器のような美しさ、はかなさがあり、弦楽をメインにしたロマンチックな(ときにやりすぎなこともある)アレンジにぴったりと合っている。さらにこのアルバムでは、作曲家としてのブライトマンを知ることもできる(シタールと詠唱風な歌声を組み合わせた<1>)。(Thomas May, Amazon.com)

 ・ amazon : エデン

 ・ Spotify : Sarah Brightman 10. Eden (1998) / エデン

1. イン・パラディズム
2. エデン
3. ソー・メニィ・シングズ
4. エニィ・タイム・エニイ・ウェア
5. バイレロ
6. ダスト・イン・ザ・ウィンド
7. イル・ミオ・クオーレ・ヴァ
8. デリヴァー・ミー
9. いつか来るはず
10. ネッラ・ファンタジア
11. トゥ(あなた)
12. 私を泣かせて下さい
13. オーシャン・アウェイ
14. セーヌ・ダムール
15. ネツスン・ドルマ(誰も寝てはならぬ)
16. ラスト・ワーズ・セッド
17. タイム・トゥ・セイ・グッバイ