テノール歌手のアンドレア・ボチェッリがクラシックの枠にとどまらない世界的な成功を収めたことで、大西洋の両岸に数多くの模倣者が生まれた。けれども本作では、ヴァイオリニスト兼指揮者のロリン・マーゼル(本作ではロンドン交響楽団を指揮し編曲も手がけている)とロマンチックなアリアとデュエットを共演することで、クラシックの名曲にはポップス色を強めなくても新たに作りなおす余地が十分にあることを再び証明している。カルーソーの時代以来ほぼ休止状態だったジャンル(ヴァイオリンと歌手のデュオ)をよみがえらせるなかで、ボチェッリはロドリーゴの「En Aranjuez can ta amor」とともに価値ある自由を手に入れ、リストのおなじみの「Liebestraume No. 3」に新たに自作の歌詞をつけて「Sogno D’Amore」を作り出した。マーゼルの情感に訴える暖かなバイオリンのオブリガードと繊細で思いやりのあるアレンジは、ボチェッリの模範的なテノールに悠然としたロマンスだけでなく、生き生きと跳ね回るトスティの「Malia」が示すように喜びと楽しさを加えている。
本作はあらゆる年代や信条の人にとってロマンチックに感じられ、クラシックをさまざまな音楽とクロスオーバーさせることがクラシックに対する裏切りではないことを気持ちよく示している。また、ボーナストラックとしてボチェッリとマーゼルのコメントを添えたミニ・ドキュメンタリーも収録され、多岐にわたるインタビューが見られるボチェッリのサイトへのリンクも付いている。(Jerry McCulley ,Amazon.com)

 ・ amazon : Sentimento

 ・ Spotify : Andrea Bocelli 12. Sentimento (2002) / アランフエス~センチメント

1. アランフエス (<<アランフエス協奏曲>> 第2楽章から)
2. 朝の歌
3. ホフマンの舟歌
4. 暁は光から
5. 愛の夢
6. セレナータ
7. 最後の歌
8. 魅惑
9. 踊り
10. 理想の女(ひと)
11. 夢
12. 愛の喜び
13. 禁じられた音楽
14. 魅惑の瞳
15. かわいい口もと
16. 私は死にたい